免疫力が低下した高齢者の風邪は危険?

免疫とは、その名の通り疫(やまい)を免れるシステムのことです。免疫力が低下すれば、さまざまな病気にかかりやすくなります。身体の中は皮膚や粘膜で守られているのですが、傷口などからバリアを通過して病原体などの異物が侵入します。そこで、免疫の主役である白血球が病原体を排除します。免疫は異物VS白血球の戦いです。

健康な人であれば、病原体が侵入しても免疫力が働いて感染症にかからない、または感染しても症状が出ません。ですが、高齢者の場合は加齢や食欲低下による栄養バランスの乱れ、睡眠の質の低下など、さまざまな理由で免疫力が低下しているため、病原体が身体に侵入した際にバリアがうまく働かず感染してしまいます。

免疫力が低下している高齢者の場合は、風邪のようなちょっとした病気でも注意が必要です。風邪の原因の約9割はウイルス、残りの1割は細菌、マイコプラズマなどの病原体です。免疫力が正常に働けば、白血球が身体に侵入した病原体を攻撃して排除します。ですが、免疫力の低い高齢者の場合は、免疫バリア機能が働かないため簡単に風邪に感染し、しかも長引きます。重症化すると、呼吸器の機能が低下している高齢者は咳など呼吸器系の症状が出やすく、肺炎など他の病気を誘発します。ですが、高齢者の場合は「ただの風邪」と油断してはいけないのです。特に高齢者は若い人と比べて熱が上がりにくいため、大したことがないと油断しがちなので注意してください。